iPhoneの自爆型写真保管庫:仕組みと、その代償
「自分で消える保管庫」は究極の守りのように聞こえます。そういう場合もあります。しかし自爆機能は、保管庫アプリの中で唯一、一瞬ですべてを失わせうる機能でもあります。このガイドでは、よくある方式の仕組み、それぞれの長所と短所、そして残しておきたいファイルを失わずに使う方法を説明します。
写真保管庫の「自爆」とは
自爆機能とは、条件を満たしたときに保管庫の中身の一部またはすべてを削除する機能です。iPhoneでは、主に次の3種類があります。
- 入力ミスによる消去:PINやパスワードを決められた回数間違えると、アプリが中身を削除します。
- 緊急用コード(パニックコード):入力すると無害な中身が開き、残りは削除される特別なコードです。背景は緊急用パスワードとはで解説しています。
- 端末レベルの消去:iOSでは、パスコードを10回間違えるとiPhone全体を消去できます(「設定」›「Face IDとパスコード」›「データを消去」)。また、「探す」で紛失したiPhoneを遠隔で消去することもできます。
それぞれ解決する問題が違い、失敗の仕方も違います。
入力ミスによる消去
考え方は単純です。誰かが推測を続けるなら、当たる前にすべて消してしまおう、というものです。
得意なこと
- スマホを盗まれたときなど、あなたがその場にいなくても機能します。
- 短いPINの推測回数に、はっきりした上限を設けられます。
苦手なこと
- 誰でも作動させられます。 スマホで遊んでいる子ども、ふざけた友人、ファイルを渡すくらいなら壊したいと考える攻撃者が、意図的にも偶然にも作動させられます。
- 目に見えます。 消去後の保管庫は明らかに空になるかリセットされるため、何かが起きたことが相手に伝わります。
- 推測には効きますが、強要には効きません。 正しいコードを入力するよう強要された場合、入力ミスのカウンターは関係ありません。
アプリが試行回数をどう数えているかも確認する価値があります。アプリを再起動してもカウンターが残るか、本当にデータを削除するのか、それともロックアウトするだけなのか、といった点です。
緊急用コードと緊急用パターン
緊急用コードは、たいていアプリのロック解除を強要されているときに、あなたが意図的に作動させるものです。優れた実装では、もっともらしいダミーを開き、その裏にある機密の中身を気づかれずに削除します。
得意なこと
- 作動させられるのはあなただけです。 推測で作動することはありません。
- サイレントにできます。 うまく作られていれば、何かが削除されたことは画面に一切表示されません。
- 強要のための機能です。 入力ミスのカウンターでは対処できない、まさにその状況に向けて作られています。
苦手なこと
- 使える状況でなければ意味がありません。 ロック解除済みのスマホを奪われた場合や、本当の秘密を入力するところを見られた場合は役に立ちません。
- 緊張した状況でも覚えていなければなりません。 本当の秘密と取り違えないことも必要です。
- ほかの消去と同じく、元に戻せません。
Velcryptの方式
Velcryptにはあえて入力ミスによる消去がありません。5×5のグリッドに描いたパターンごとに専用の保管庫が開き、アプリが見たことのないパターンではエラーなしで新しい空の保管庫が開くだけです。数えるべき「間違ったパターン」がないことが隠し保管庫を否認可能にしており、適当に推測するだけで保管庫が消されることもありません。
その代わり、VelcryptにはPremiumの緊急用パターンがあります。
- 無害な中身を入れたダミーの保管庫を開いた状態で、「設定」→「緊急用パターン」から設定します。
- 別のパターンを2回描いて確定します。すでに保管庫を開くパターンは使えません。
- ロック画面で描くと、ダミーの保管庫が開き、そのiPhone上のほかの保管庫はすべて気づかれずに完全削除されます。ロック解除の見た目もかかる時間も通常と同じです。
- 緊急用パターンが設定されているかどうかを、アプリは決して表示しません。iPhone 1台につき1つで、新しく設定すると以前のものは置き換えられます。オフにするには緊急用パターンを描く必要があり、オフにしても何も削除されません。
- Premiumが終了しても機能し続けます。Premiumが必要なのは設定するときだけです。
- そのiPhoneにある唯一の保管庫に設定した場合は削除するものがないため、アプリが警告します。
方式の比較
| 入力ミスによる消去 | 緊急用コード/パターン | iPhoneの「データを消去」 | |
|---|---|---|---|
| 作動させられる人 | 一定回数間違えた人なら誰でも | 緊急用の秘密を知っている人だけ | パスコードを10回間違えた人なら誰でも |
| 想定する状況 | 推測、盗難 | ロック解除の強要 | 推測、盗難 |
| 作動後に目に見えるか | たいてい見える | サイレントにできる | 見える。iPhoneがリセットされる |
| 削除されるもの | アプリの中身 | アプリによる。Velcryptではダミー以外のすべての保管庫 | iPhone上のすべて |
| 元に戻せるか | バックアップからのみ | バックアップからのみ | バックアップからのみ |
避けられないトレードオフ:元に戻せない
どの自爆機能も、復元できる可能性と引き換えに守りを得ています。オンにする前に、次の3点について自分に正直になってください。
ほかの場所にバックアップが必要
Velcryptの保管庫はiCloudやコンピュータのバックアップから除外されているため、削除された保管庫はiPhoneから消えてしまいます。取り戻す唯一の方法は、事前に作成した暗号化バックアップファイルです。Velcryptでは、「設定」→「バックアップ」で、開いている保管庫の.velcryptファイルを作成できます。ファイルは自分で決めたバックアップパスワードで保護され、無料です。「ファイル」、iCloud Drive、コンピュータなどアプリの外に保存すれば、緊急用パターンの影響は受けません。バックアップパスワードも大切に保管してください。忘れたバックアップパスワードは復元できません。バックアップの保護方法はセキュリティのページをご覧ください。
削除は必ずしも物理的な消去ではない
フラッシュストレージでは、削除したデータがすぐに物理的に消去される保証はありません。あなたを守るのは暗号化です。Velcryptの保管庫のデータはAES-256-GCMで暗号化されており、鍵は保管庫のディレクトリと一緒に削除されるため、残ったデータは鍵のない暗号文になります。それ以上を約束するアプリには注意しましょう。
削除されるのはアプリの中身だけ
「写真」、「最近削除した項目」、iCloud、チャット、別の端末に残っている元のファイルには影響しません。取り込み後は元の写真を削除しましょう。
責任ある使い方
自爆機能は、身の安全とプライバシーを守るためのツールです。証拠を消したり、警察、国境の係官、裁判所による合法的な要求を回避したりするために使ってはいけません。法律は国によって異なり、法的な要求を受けている状況でデータを削除すること自体が犯罪になる場合があります。そうした状況にある、またはなりそうな場合は、法律の専門家に相談してください。
自爆型の保管庫を選ぶべきか
保管庫のロック解除を強要されることが現実的なリスクで、見られるくらいならファイルを失ったほうがいいと思えるなら選びましょう。ファイルがかけがえのないものなら、使わないか、バックアップができるまで待ちましょう。
どのアプリを選ぶにしても、自爆機能がどう作動するか、目に見えるか、実際に何を削除するかを確認してください。写真保管庫アプリの安全性チェックリストが役立ちます。Velcryptを選ぶなら、ダミー保管庫と緊急用パターンの設定方法で、まずバックアップを取るところから手順を説明しています。Premiumのプランは料金をご覧ください。
よくある質問
自動で中身が消えるiPhoneの写真保管庫はありますか?
あります。入力ミスが一定回数に達すると中身を消去する保管庫アプリや、緊急用コード(パニックコード)を用意しているアプリがあります。VelcryptにはPremiumの緊急用パターンがあり、ダミーの保管庫を開くと同時に、iPhone上のほかの保管庫をすべて完全に削除します。
Velcryptはパターンを何度も間違えると保管庫を削除しますか?
いいえ。Velcryptでは、見たことのないパターンを描くと新しい空の保管庫が開くだけなので、数えるべき「入力ミス」がありません。削除が起きるのは、あなたが設定した緊急用パターンを誰かが描いたときだけです。
保管庫が自爆したあと、写真を取り戻せますか?
iPhone上からは取り戻せません。Velcryptで取り戻す唯一の方法は、事前に「設定」→「バックアップ」で作成し、アプリの外に保存した暗号化バックアップファイルです。ほかの場所に保存したバックアップファイルには、緊急用パターンは影響しません。
自爆機能は完全消去と同じですか?
厳密には違います。フラッシュストレージでは、削除したデータが物理的に消去される保証はありません。Velcryptの保管庫のデータはAES-256-GCMで暗号化され、鍵は保管庫と一緒に削除されるため、残ったデータは読み取れない暗号文になります。
警察にスマホを見せるよう求められたとき、自爆型の保管庫を使ってもいいですか?
いいえ。証拠を消したり合法的な要求に逆らったりするために、削除機能を使わないでください。法律は国によって異なり、法的な要求を受けている状況でデータを削除すること自体が犯罪になる場合があります。代わりに法律の専門家に相談してください。